「The Inheritance of Loss」(キラン・デサイ)


2006年ブッカー賞受賞作:


The Inheritance of Loss

The Inheritance of Loss



インドが舞台、というだけで人種も宗教も入り混じったカオス的な状況が容易に予想されるのだけど、
正にその通りの小説。
著者はこれが2作目だが、母親も有名な作家(アニタ・デサイ)だし英米で教育を受けていて、そのためか
コミカルに読ませつつも非常に才気走った文章。しかし私には少々キツかった。


話の重要な転換期であるはずの若い二人の恋物語があまりに幼稚で、子犬のじゃれあいじゃないんだからさー
と思ってしまうなど、コミカルと言うよりは浅はかな人々が大挙して出てくるのだが、
きっとこれは狙って書いているんだろうな。個人的ひいきはやっぱりコックさんだね!


短い章立てでテンポよく読ませて、インドとネパールの複雑な関係も勉強できるのでお得といえばお得かも。
もう1作くらい書くとゼイディー・スミスみたいにぐっと大人っぽくなるんじゃないだろうか。
今後に期待。


●参考
「ネパール政治の基礎知識2006」(All About Japan):
http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20060511A/