「ドイツの歴史教育」(川喜田敦子)


日本人向け図書室より借出し:


ドイツの歴史教育 (シリーズ・ドイツ現代史)

ドイツの歴史教育 (シリーズ・ドイツ現代史)


戦後ドイツはどのように自らの歴史を後世に伝えようと思ったのか。
教科書問題やナチのユダヤ人迫害だけに留まらず、広い視点から語られている。
すべての問題点を扱うにはとてもページが足りないという感じで、
もう少し突っ込んだ内容を求めるには他の文献に当たる必要がありそう。
個人的には後半、旧東独での歴史教育についての項や、EU拡大に伴う「自国史」の変化などが興味深かった。


月並みな感想だが、他者を理解するには「対話を続けること」が大切なのだと感じた。
歴史の解釈は「これで確定」というものはなく、その時期や関わる人々の視点で容易に変更しうる。
それが誤解に誤解を生んで亀裂を生むのを防ぐには、とにかく対話を積み重ねていくしかない。
最終的な合意に至っても至らなくても、変化する可能性を常に確認しておくことが大事なのだろう。