「ラッセルのパラドクス」(三浦俊彦)


読み始めてしばらくして「あ、この話知ってるわ」と思い至る。
デジャヴ?いや、学校で習ったんです。



と言っても論理学や哲学の授業ではなくて、文学というか語学というか読解の授業で
「いかに日常言語がいいかげんな構造で成り立っているのか(そしてそれを皆が気づかないで使っているか)」
を証明するために、先生が用いていたのがこのパラドクスの初歩のあたりだった(と今気がついた)。


当時の私はたいへんウブだったので、
「言葉ってこんなに不完全だったんだ…じゃあ他人とのコミュニケーションなんて無理じゃん!」
と激しく落ち込んだのを覚えてます。一時期本当にノイローゼになりそうだった。
そこから頑張って「だからこそ言葉って面白い」というポジティヴ思考に変換していって、今の私があるわけですが…。


というわけで専門的な意味で理解しているとはとても言えないけれど、こんなこと考えつくラッセルさんには深く敬意を表したいと思います。
新書といえども結構手ごわいですが、読む価値のある一冊です。