「The Illusionist」(2005)


日本行きのANA便で、機内上映にて観賞(日本語吹替)。
原作は私が溺愛する作家、スティーヴン・ミルハウザーの短編「幻影師、アイゼンハイム」。



バーナム博物館 (白水uブックス―海外小説の誘惑)

バーナム博物館 (白水uブックス―海外小説の誘惑)


原作は↑に収録。私は福武文庫版も持ってるもんね(と自慢)。




日本・ドイツともに未だ公開時期が確定してなくて、こりゃ観れないかも…と心配していたところだったので、こういう形でも観れて良かった。


原作はいかにもミルハウザー!な内容で、物語そのものより奇術に対するフェティッシュな描写欲に満ち溢れた作品。
これをどうやって長編映画にするのやら?と思っていたら、なーんと原作で5行ほどほのめかされただけの恋愛要素をおもいきり拡大解釈した、一大ラブロマンス&ミステリーになっていたのでした!
…そ、そうですか、やっぱり「愛」ですか…orz。


客観的に眺めれば、「うたかたの恋(マイヤーリンク館でのオーストリア皇太子と恋人の心中事件)」を連想させる恋愛描写は19世紀末のウィーンという舞台に非常によく合っているし、脚本も充分練られていて最後まで緊張感は途切れない。エドワード・ノートンは相変わらず名演技を披露してくれてるし、何の予備知識のない友人には迷いなく「ロマンティックだし、面白いよー、いいよー」とオススメできる映画になっております。(実際、相方はとっても楽しんでいた)


でも原作ファンとしては、ちょっと、ね…。
やっぱりミルハウザー作品の主人公なら、奇術に熱中するあまり恋人に愛想を尽かされるくらいの度量(?)がないと!奇術も恋人も両方手に入れよう、なんて器用なこと考える人物では駄目なのよ。


でもまあ、まずは観てもらわないと。早く公開なりDVD化なりが決まってほしいもんです。




…というわけで2週間弱と短い間ですが、日本へ戻っておりました。
その他、往復の機内で観た映画は
パイレーツ・オブ・カリビアン2」「プラダを着た悪魔」「フラガール」。
さらには実家で「嫌われ松子の一生」「花よりもなほ」をDVDレンタルにて観賞、どれもなかなか面白かったです。
今年も良い映画に沢山巡り合えますように。