「安徳天皇漂海記」(宇月原晴明)


日本人向け図書室にて借出し:


安徳天皇漂海記

安徳天皇漂海記


うわ、これはビックリするくらい面白かった!
壇ノ浦の合戦とジパング伝説がこんなワクワクする形で結びつくとは。しかも悲劇の将軍・源実朝を仲立ちとして。


日本人には馴染み深い題材を集めながらも、その組み合わせは大胆かつ繊細。安徳天皇源実朝、さらには海を越えて南宋の皇帝まで、歴史に翻弄されあえない最期を遂げた者たちの哀切がじんわりと染みてくる。


著者のデビュー作は読んでいたけれど、その時は「面白いけどちょっとマニアックというか、読者を選ぶ作風かな?」と感じていた。でも久しぶりに読んだこの4作目は作品の高品質はそのまま維持しつつ、幻想小説好きも歴史小説好きも、エンタメ系読者もブンガク系読者も取り込める度量を備えていると思う。
山本周五郎賞も獲ったことだし、いろんな人に読まれてほしい。




見えない都市 (河出文庫)

見えない都市 (河出文庫)

全然傾向は違いますが、マルコ・ポーロ繋がりってことで。これも好きだなあ。