カラヴァッジオ展

今年は我が街では4年に一度の「芸術年」だそうで、面白い催しが目白押し。中でも一番の目玉はこのカラヴァッジオ展。ようやく時間が空いたので、いそいそと出かけてきました。


●公式サイト(独・英語):http://www.caravaggio2006.de



小人数でのガイドツアーが結構入っていたので、平日の割には入場客は多め。とはいえ日本の特別展みたいに「押し合いへし合い」には決してならないのが有難いところ。ゆっくり自分のペースで観賞することができました。


まあそれにしてもドラマティック。本来の「演劇的」という意味で。
何もない真っ暗な空間にパッとスポットライトが当たると、そこにバッチリとポーズを決めた人物が照らし出される、という感じ。白い肌にまとわりつく赤い布がまた官能的なんですよねー。


カラヴァッジオのスタイルは彼が存命の頃から既に人気があり、同時代の画家達もこぞって模写に励んでいたそうで、本人のものかどうか不明のものも多数。本人も同じモチーフで何枚も画いているので余計話がややこしい。


今回の展示で面白かったのは、そういった模写もオリジナルと平等な扱いで並べられていたことで、もちろん模写と分かっているものはその旨表示されていますが、当時はさほどオリジナル偏重主義ではなく模写でも良いものは良いと認められていたそうで、まあ確かに私みたいな素人にはちょっと区別がつかないな(笑)。


しかし模写にもやっぱり上手い下手があって、「いやそれはちょっと…」みたいなのもあれば、同じ画が2枚並んでいて「おお、やっぱり本物の方はディテールが違うね!」と思って確認してみたら実は両方とも模写だった、なんてのもあって、そういう経験も楽しかったです。X線撮影で知るオリジナルと模写の描き方の違いなどの解説もあって勉強になりました。


解説といえば、壁の解説文が全部ドイツ語と英語の並列表記だったのでとても助かりました。さすがに目玉のイベントだけあって力が入ってるなあ。いつもこうだと良いのに。
ともあれ1時間強、じっくり楽しませていただきました。


<参考>
●Salvastyle「カラヴァッジョ」
http://www.salvastyle.com/menu_baroque/caravaggio.html
予習・復習に最適のサイト。
この中で今回展示されていたのは「リュートを弾く若者」「エマオの晩餐」「聖トマスの懐疑」「聖ペテロの磔刑」「アモルの勝利」「聖母の死」「執筆する聖ヒエロニムス」あたり(含模写)。背景が描き込まれていない、シンプルかつダイナミックな画を中心に集めているのが良く分かりました。