「buecher」誌のドイツ文学特集


当ブログでしょっちゅうネタにしている新刊情報誌「bücher」ですが、最新号では68頁の特別付録で<ドイツ文学>特集を組んできました。これにはちょっとビックリ。


以前書いたようにドイツの一般書店はドイツ語文学/翻訳文学と明確に棚を分けているところが少ないし、特にこの「bücher」誌は書評文に「○○語からの翻訳」と明確に書いてないことが多い(本文を読めば大体推測できるようになりましたが)ので、特集する前にもっとやる事があるでしょ!?と思ってしまったり。


あと「ドイツ」文学か「ドイツ語」文学かというのも考えちゃいます。表紙からして基本は「ドイツ」文学だけど、都合の良いところでは広義の「ドイツ語」に置き換えているような(カフカやT・ベルンハルトがドイツ人か?というと私はちょっと抵抗がある)。スイスやオーストリアの人はどう思うのだろう。


やはりW杯での大健闘がドイツ人にちょっとした「自意識」を目覚めさせたような気がします。いや、自意識自体は元々あったんでしょうけど、過去の過ちの大きさから今までは表に出すのを遠慮してたのが、ここにきてちょっと変化してきたような。


内容そのものは古典から現代まで、文学に限らず評論、伝記、日記…と多岐に渡ってコンパクトにまとめてあるので私のような門外漢には有難いです。熟読して読書の幅をもっともっと広げたいと思ってます。


参考までに私が一番興味のある現代文学の分野で挙げられている「現在存命の重要作家10人」は以下の通り(翻訳のある人はカタカナ、ない人はアルファベットで表記してみました。順番は姓のABC順):


●H・M・エンツェンスベルガー
● Wilhelm Genazino
ギュンター・グラス
●ペーター・ハントケ
●ダニエル・ケールマン
● Walter Kempowski
●クリストフ・ランスマイヤー
●ラルフ・ロートマン
マルティン・ヴァルザー
●クリスタ・ヴォルフ


ケールマンはまだ「Deli」誌に抄訳が出ただけですが、まあそのうち全訳が出る事を期待して。


せっかくなので、以下の作品ぐらいは読んでみたい:


「愛」の悪魔

「愛」の悪魔


ラスト・ワールド

ラスト・ワールド


森のなかの夜 (ドイツ文学セレクション)

森のなかの夜 (ドイツ文学セレクション)



ちなみに「明日を担う次世代作家10人」は↓:
http://www.buecher-magazin.de/index.php?id=morgen
日本で紹介されているのは、まだユーディット・ヘルマンくらい?若者たちの今後が楽しみです。


夏の家、その後 (Modern&Classic)

夏の家、その後 (Modern&Classic)

正直言うとこれはあまり好きじゃなかった…というか私には短編小説を味わう素養が欠けているのかもと思う今日このごろ。基本がせっかちだから?