「Elementarteilchen(素粒子)」(2005)


レンタルDVDにて観賞(独語音声・英語字幕)。
原作はこちら↓:


素粒子 (ちくま文庫)

素粒子 (ちくま文庫)

●原作感想:http://d.hatena.ne.jp/shippopo/20060410



フランスからドイツへ舞台を変えたこと、更には小説から映画へと表現方法が移ったことで、登場人物の行動の裏づけとなっている「性の解放」に伴う負の歴史(風俗史)の告発部分がごっそり抜け落ちてしまっている。
その結果、なんでこの人達こんなことやってんの?みたいなボンヤリした印象しか残らない。ラストも原作はずっと残酷&ビックリものなんだけど、映画の方はなんだか妙にファンタジック。ちょっと大衆におもねってないですか?


一番いかんのはミシェル(映画ではミヒャエル)が全然天才科学者に見えないこと。せめてもーちょっと痩せようよ、ウルメン君!
(個人的ごひいきのトム・シリング君が、宅八郎みたいなダサい格好で登場してるのも、ちとショック…でも役柄としてはピッタリだったかも…)


原作ではどちらかといえばミシェルが主軸なのだが、監督が肩入れしているのはブリュノ(ブルーノ)の側にあるのは明白。でもそれならオリジナル脚本で勝負すれば良いのにね?
(といっても前作「Agnes und seine Brueder」も成功しているとは私には思えなかったけど)


時系列の入替えも、どういう効果を狙ってるのか判然としないし、うーん、先に原作を読んだ者としては色々文句をつけたくなる映画でした。