ギュンター・グラスの告白

●「『独の良心』苦悩60年」(東京新聞、8月18日付)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kakushin/20060819/mng_____kakushin000.shtml


12日のインタヴューは知っていたけど、休暇から戻って来たらドイツでは予想以上に大騒ぎになっていた。主な雑誌や新聞では軒並み緊急特集を組んでいる。


告白によって「小説家」としての作品の価値が減じることは無いだろうけれど、「知識人」「モラリスト」としてのこれまでの発言が再吟味されるだろうとは思う。小説家なんてしょせん嘘をつくのが仕事なんだからさ…とはこの人の場合、簡単に言い切れないところがつらい。



ここからは全くの余談。
"Would you buy a used car from this man?(この男から中古車を買うか?=この男を信用するか?)"という表現は特にリチャード・ニクソンに対して用いられた言い回しで、初めて知ったときは何ともアメリカ的な表現だなあと思っていたのだけど、今回このグラスに関する新聞記事で同様の表現(Gebrauchtwagen abkaufen)を見つけてちょっと驚いた。
英語から「移殖」してきた表現だと思うのだけど、ドイツも車社会だから違和感はないのかな?それともドイツでも元々そういう言い回しがあるのだろうか。


"Der Historiker Joachim Fest sagt, er würde Günter Grass nicht einmal mehr einen Gebrauchtwagen abkaufen."(8月20日付 WELT am Sonntag紙より)
●全文:http://www.wams.de/data/2006/08/20/1004036.html