「ペンギンの憂鬱」(アンドレイ・クルコフ)


日本人向け図書室より借出し。


ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)

ペンギンの憂鬱 (新潮クレスト・ブックス)


舞台はウクライナ。売れない小説家のヴィクトルは、破産寸前の動物園から引き取った憂鬱症のペンギンと一緒に暮らしている。
生活のために新聞の死亡記事を事前に用意する、という仕事を始めたことから徐々に平凡な彼の人生に不穏な変化が…。


ペンギンと暮らすなんて、お前はアニメのヒロインかっ?と最初こそ突っ込みを入れていたのだけど、案外気に入ってしまいました。ウクライナの不穏な情勢が決して直接的な表現ではなく、それでもじわじわと主人公を圧迫するように描かれているのがとても上手い。


くすくす笑って読み進められるのに実は意地が悪く、物語の底が深い。早いうちにこういう本に出会ったら読書が好きになるだろうなあ、と思わせる一冊でした。翻訳も自然で素晴らしかったです。