「The Historian(ヒストリアン)」(エリザベス・コストヴァ)


ペーパーバックを買ったとたん日本語版が出たのに逆ギレ?して一気読みに走る:


The Historian

The Historian


日本語版はこちら:


ヒストリアン・I

ヒストリアン・I


(Ⅱ巻:ISBN:4140054948


●日本語版公式サイト(NHK出版)
http://www.nhk-book.co.jp/historian/index.html
作品概要はもちろん著者インタヴューや「読み方」指南など、なんか売る気マンマン!ですねえ。



ミステリとしても吸血鬼ものとしても正直それほど新味は感じなかったのけど、B・ストーカー以前の「原ドラキュラ」=ヴラッド串刺し公の史実と伝説を軸に、ルーマニアハンガリー、トルコの中世からの因縁の一端を分かりやすく読者に提示した点は評価されていいのかも。
中欧やトルコの文化・歴史に興味がある人は楽しめると思います。


それにしても歴史家ってのはメモ魔じゃないとやっていけないね。
あんな長くて詳細な手紙の数々、私にはとても書けません!



【参考】
●「ハンガリールーマニア国境 −トランシルヴァニアをめぐって−」(The Purple Chamber)
http://homepage3.nifty.com/ryuota/transylvania.html


●「ワラキア公国とルーマニアの歴史」
http://www.europe-z.com/tabi/ro199805/h01x.html
(04-08章がヴラッド串刺し公について)



(個人的つぶやき)
巷では『ダ・ヴィンチ・コード』の次はこれだ!的な位置づけで売られている本書だが、私はむしろ昨年読んだ「The Shadow of the Wind」(Carlos Luiz Zafon)を連想した。
父親に育てられた主人公が偶然手にした一冊の本から運命が大きく変わっていく…という始まり方なんてそっくり。(その後は大分違うけど)
何が言いたいかというと、つまり古書店とか図書館とかを迷宮のようにさまよう話に私は大変ヨワイということだ。まあ大抵の本好きはこの手にヨワイように思う。違うでしょうか。ちとズルイよね。



「La Sombra del Viento (The Shadow of the Wind)」感想:
http://d.hatena.ne.jp/shippopo/20050824/p1