「幸せを運ぶ料理店」(M・ビンチー)


幸せを運ぶ料理店〈上〉 (扶桑社ロマンス)

幸せを運ぶ料理店〈上〉 (扶桑社ロマンス)

幸せを運ぶ料理店〈下〉 (扶桑社ロマンス)

幸せを運ぶ料理店〈下〉 (扶桑社ロマンス)


以前原書で読んでいたのだが、翻訳が出たので改めて読み返す。いやーやっぱり面白いわ。


(2003年7月の読書日記より)
「ダブリンで自分達のケータリング会社「スカーレット・フェザー」を興した若きキャシーとトム。仕事もプライベートも試行錯誤の彼らの一年が、相変わらず快調のビンチー節で描かれる。


主人公のキャシーは仕事に精力的(時々から回り)、反りの合わない姑ともガンガン喧嘩する気持ちいい?キャラで、特に女性に好かれそうな感じ。相棒のトムは明るくてお人好し、おまけにハンサム(「裸のシェフ」のイメージ?)。二人は恋人になり損ねて、今では気の置けないビジネス・パートナーという間柄。上向き経済を反映して物語全体の印象も明るくて元気が良い。


80年代までは失業率も高く国外に出稼ぎに出るしかなかった国で、今やケータリングという事業をベースに物語が成立するという時点で、既に感慨深いものが。グルメが気軽な娯楽として定着してきたことの現われだろう。作中にも美味しそうな食べ物がいっぱい出てくるのだ(ヨダレ)。


生活様式の変化に伴い、家族や仕事に対する価値観も大きな変化を迎えているが、それでもアイルランドが世界に誇るホスピタリティの精神を強く打ち出しているところが、ビンチー作品を安心して読みすすめられる要因だと思う。


作中でダンナの親戚の崩壊家庭から双子(これがまた強烈で楽しいキャラなのだ)を救い出すキャシーと彼女の一家の奮闘振りが描かれるが、「血縁に頼るより本当に愛してくれる人のところで子供は育つべき」という主張が明確に現れている。特に双子とキャシーのパパとの交流はありがちだけど涙ナミダ。」
http://members.aol.com/shippopo/diary200307.htm



Scarlet Feather

Scarlet Feather



日本ではさっぱり知名度の低いビンチー先生ですが、日本市場販促委員会としては翻案しての連続TVドラマ化をオススメします。キャラもみんな立ってるし、胸キュンのエピソードも満載で良いと思うんだけどねー。舞台は 原題の"Scarlet Feather"にちなんで赤羽ってことでどうでしょ?


ちなみにダブリンの同じ地域を舞台にした作品「タラ通りの大きな家(上:ISBN:4594033466、下:ISBN:4594033474)、原題 "Tara Road"」はいつのまにか映画になっていたのでした(見逃しちゃったのでDVD化を待ちます…)。映画の紹介文によると小説の後半部分が中心になっている模様。確かに前半はちょっと話がもたもたしてるからね。


●映画公式サイト(英語):http://www.tara-road.com/