「箱庭図書館」(乙一)


図書館にて借出し:


箱庭図書館

箱庭図書館


最近新刊が出ないのでどうしてるのかな?と思っていたら、別名義で仕事していたり、こんな風にWeb上
ごそごそやっていたそうな。知りませんでした。


読者からWeb上でボツ原稿を集めてリメイクする、という企画を一冊にまとめた今回の作品集。
ネタが思い浮かばないから、とダメダメに見せかけておいて実は自信がないと出来ないですよね。
ボツ原稿はWeb上で読めるようになっているので、比較して「なーんだオリジナルの方が良いじゃん」
ということになったら困るわけですから。
実際、オリジナルのアイデアを生かしつつも乙一作品にきっちり仕上げている手捌きの良さはやっぱり
さすがなのでありました。


全6作のうち特に面白かったのは「王国の旗」で、ミルハウザーの「夜の姉妹団」に似た不穏な雰囲気が
楽しめました。あえてミステリ風にせずに余韻を残して終わるところが良くて、あとがきを読むと
著者にとっても新境地だったようです。今後の創作にどう影響してくるか期待してしまいます。


最後の「ホワイト・ステップ」は切ない系乙一らしい作品で、雪の上に書かれた文字が目に浮かぶようでした。
これからは乙一名義の作品をまた色々出してくれるのかな?と思うと楽しみであります。



夜の姉妹団―とびきりの現代英米小説14篇 (朝日文庫)

夜の姉妹団―とびきりの現代英米小説14篇 (朝日文庫)

ミルハウザーの表題作が入ったアンソロジーは品切れ。


ナイフ投げ師

ナイフ投げ師

現在は↑こっちにも収録されています。