「夜露死苦現代詩」(都築響一)


図書館にて借出し:


夜露死苦現代詩 (ちくま文庫)

夜露死苦現代詩 (ちくま文庫)


昨年読んだ「ヤンキー文化論序説」で紹介されていて気になっていた一冊。
この度文庫化されたので読んでみることにしました。


全編ヤンキーものなのかと思ってましたが、それは全17章中1章だけ。
「寝たきり老人の独語、死刑囚の俳句、エロサイトのコピー、暴走族の特攻服、エミネムから相田みつをまで(裏表紙紹介文より)」
多岐に渡る日常の、道端の「詩」を紹介しています。ワープロ誤変換、なんて微笑ましい章もありますが…。


文芸的な意味では詩とはいえないような言葉の束は、その代わり強烈なインパクトで心にぶつかってきます。
最初は空いた時間にまず軽く1、2章くらい…と思っていたのに、その吸引力に負けてつい全部読み通してしまいました。
例えば個人的にはアウトサイダー・アートってあまり評価しないんですが、実際に読んでみると相手を否応なしに引きずりこむ迫力があります。


巻末には谷川俊太郎との対談。さすが谷川氏はプロとして長年言葉を紡いできた人だけあって、自分のなすべきこと、現代詩の抱える
問題点などを明快に論じてくれて、ちょっと清々しい気持ちになりました。