独文学情報誌「DeLi」 Nr.10


これからは年4回刊行を目指します!と高らかに宣言してから早1年半、私もさすがにこれはもう終了でしょう…と
思っていたので今ごろ新刊が出ると知って大変驚きました。いや、出ればちゃんと買うんですよ?


DeLi〈Nr.10〉

DeLi〈Nr.10〉

●公式サイト:http://www.h7.dion.ne.jp/~deli/


紹介されている作家は全て知らない方達で、各編とも長くはありませんがそれぞれ読み応えがありました。
私は基本的に長編小説が好きなので、中でも第5章だけ訳されているというヨーゼフ・ヴィンクラーの作品を
そのうち全部読んでみたいなあと思いました。ちょっと誤解されそうなタイトルですが…:


Roppongi: Requiem fuer einen Vater

Roppongi: Requiem fuer einen Vater


実際には六本木は内容とほとんど関係なくて、著者が来日中に亡くなった父親及びその親族との過去の葛藤を描いた作品のようです。
その呪詛のような独白にトーマス・ベルンハルト「消去」をちょっと思い浮かべました。オーストリア人ってみんなこんな感じ?


そういえば今回取り上げられた作家5人のうち2人がオーストリア出身、1人がスイス出身、もう1人がイギリスXオーストリア
いうのも印象的でした。同じドイツ語圏でもオーストリア作家の作品って、上手く言えないですがなんだかやっぱり違います。
(当然と言えば当然ですが)もう少しその辺の違いがわかるようになれば良いなあ…。


ところで先日「翻訳出ないかなあ…」とぼやいていたヘルタ・ミュラーの「Atemschaukel」ですが、ドイツ文学最新情報を伝える
冒頭のエッセイで(邦訳近刊)として紹介されていました。ホ、ホントですかっ。近刊ってそりゃ一体いつなんですかっ?
…まあマイナー文学の出版予定なんてあてにならぬもの、気長に待ちます。
さて、第11号はちゃんと出るのかしら…。