「砂漠のゲシュペンスト」(フランク・シェッツィング)


図書館にて借出し:


砂漠のゲシュペンスト〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

砂漠のゲシュペンスト〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)


砂漠のゲシュペンスト〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

砂漠のゲシュペンスト〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)


ドイツの売れっ子作家・シェッツィングさん、最近次々と翻訳が出てくれるのは嬉しい限りです。
「トイフェル(悪魔)」とか「ゲシュペンスト(幽霊)」とか耳慣れないドイツ語を邦題にくっつけて読者に印象付けようと
いう出版社側の戦略は当たっているのかな?とやや心配ではありますが、まあ作品ごとにテーマをがらっと変わるのが
この作者の特性なので、何か統一感を持たせるには、こういう方法が良いのかもしれません…。
ちなみに原題は「Die Dunkle Seite(ダークサイド)」で幽霊とは関係ありません。


内容ですが、最初は湾岸戦争は単なる前フリで後は宝探し&犯人探しのドキドキアドベンチャーなのかな?と思っていたのですが
話が進むにつれ湾岸戦争の特異性についての批評性が高まってきて、後半は特に読み応えが高かったです。発表当時(1997年)に
読んでいたら、もっと斬新に感じられたかもしれません。といってもドキドキアドベンチャーな部分もきちんとツボを押さえてあって
エンタメとしてもかなり面白かったです。プロローグと依頼者の話が常に微妙にズレているので、ずーっと「ああキモチ悪い!
早く真相を知ってスッキリしたい!」とワジワジしてました。それでついつい読まされてしまう…うまくノセられました。
あと、「ミレニウム」シリーズと同様にこちらにも<女を憎む男たち>が出てきて、その点でも興味深く読みました。


2008年にはドイツでTV映画化されたそうです。うーんでもなんかヒロインが安っぽい…。