「ロースハムの誕生」(シュミット・村木真寿美)


図書館にて借出し:


ロースハムの誕生―アウグスト・ローマイヤー物語

ロースハムの誕生―アウグスト・ローマイヤー物語


良質な肉が乏しかった時代に、独自のボイルドハム「ロースハム」を考案して日本の食文化に貢献した
アウグスト・ローマイヤーの一生。題名から想像していた「ロースハム誕生秘話!」みたいなものではなく、
むしろ青島・久留米での水兵及び捕虜時代、そして第二次大戦が始まってからのナチスとの葛藤に多く文章が
割かれています。


装丁も内容も地味といえばかなり地味ですが、こういった市井の人々の記録は放っておくと散逸してしまうので、
人々の記憶に残っているうちにまとめておくことが必要だという著者の姿勢が感じられました。日本ではそれなりに
名の知れたローマイヤーですが、兵隊時代の記録は少なく、推測に頼らざるを得ない部分も多かったようです。


ただひたすらに誠実に生きていく、そんな普通の人達の交わりの中で歴史は積み重なっていくのだなあと感じました。


ローマイヤのHP:http://www.lohmeyer.co.jp/
(「ストーリー」にローマイヤー氏の略歴あり)