「シャムロック・ティー」(キアラン・カーソン)


図書館にて借出し:


シャムロック・ティー (海外文学セレクション)

シャムロック・ティー (海外文学セレクション)


ここ数年クロスステッチにハマっている私です。刺繍の素晴らしさといえば自分で刺す楽しみは勿論ありますが、それ以前に
刺繍糸の色の豊富さとその美しさ、もう眺めているだけで幸せになります。願わくばDMC(ヘビメタじゃない方)の色見本帖
購入して一日中ぼんやり&にやにや見つめていたい…。
しかもDMCは色に全部名前がついていて(参考)、その名を読むだけでも様々な空想が広がります。もううっとり。


本書も全101章のほとんどのタイトルが色にまつわる単語で構成されていて、それだけで色とりどりの刺繍糸を床にぶちまけたような陶酔感に
浸ってしまいます。しかも内容はその色彩だけに留まらず芳香や聖人達や不思議な歴史上の逸話が盛り沢山で、読み進めるうちに自分が
どこに連れて行かれるか分からない、でもそんなこともうどうでもいいという心持ちにさせられてしまいます。
シャムロック・ティー、これはかなり危険なドラッグです!



そして特別ゲストのウィトゲンシュタインヴィトゲンシュタイン)。この方はよく小説に出演しますね。やはり言葉を徹底的に
突き詰めようとしたそのストイックな生き方が作家の心を捉えるのでしょうか?でも本書に出てくるウィトゲンシュタインはなんだか
いつもより親しみやすい感じの青い目の(Wittgenstein Blueという章もあり)思索者なのでした。



ケンブリッジ・クインテット 新潮クレストブックス

ケンブリッジ・クインテット 新潮クレストブックス


聖人と学者の国

聖人と学者の国


↑どちらもヴィトゲンシュタイン出演の実験的架空対話小説。ケルトびいきとしてはやはり後者が好き。





著者はケルト音楽の演奏家でもあります。多分フルートを吹いている方(顔が分からない…)。