「幽霊コレクター」(ユーディット・ヘルマン)


図書館にて借出し。河出でも「Modern&Classic」シリーズじゃないのね:


幽霊コレクター

幽霊コレクター


全部で7編の短編集。一作一作、非常に読み応えがありました。


前作の「夏の家、その後 (Modern&Classic)」は正直余りピンと来なかったのですが、今作にはとても心惹かれました。
久しぶりに再会する友人、昔少しだけ恋人だった人、旅先で落ち合う事にした両親…などなど、決して嫌いではない、
むしろ愛おしいのに、長い間一緒に居るとなんだか少し息が詰まる…そんな人間関係の微妙な距離感が的確に描き出されています。
クールで淡々とした描写の中に潜む感情の揺らぎがとても印象的な作品集でした。


ところで訳者あとがきで表題作が映画化されていると知り、ちょっと調べてみました:



<映画予告編>


映画の公式サイトを見る限りでは表題作だけではなく、同時収録の(しかし直接繋がりはない)複数の短編を組み合わせて
1本の映画にしているよう(うち1篇は前作から?)。舞台もアメリカ、アイスランドヴェネツィアなど様々。


ドイツ的には若手人気役者総出演!みたいな豪華なラインナップです(といっても他国ではさっぱりでしょうが…)。
個人的に一番観たいのはニヒルなイケメン、アウグスト・ディール君と、「グッバイ、レーニン!」で気が強いお姉さん役だった
マリア・ジモンの絡みが観れる表題作のお話です。マリア・ジモンは美人じゃないけど、芯が強くて、でも細やかな思いやりを示せる
女性を演じさせると上手くて結構お気に入りなのですだ。日本で公開されないならDVD買っちゃおうかしらん
(と言いつつ未だにPAL再生用のプレーヤーを買っていない…駄目じゃん…)。