「テンペスト」(池上永一)


図書館にて借出し:


テンペスト 上 若夏の巻

テンペスト 上 若夏の巻


テンペスト 下 花風の巻

テンペスト 下 花風の巻


いやあやっぱり舞城作品の後だとなんだかスイスイ読める気になるなあ…と思っていたけど、よくよく考えてみたら
これまでの池上作品と比べてもかなりスッキリした内容なのでした。これまでのアニメちっくオーバーアクションから
宝塚レヴュー的絢爛夢芝居へ、といった変わり方でしょうか。話も「リボンの騎士」っぽいし、宝塚で舞台化するんじゃないかな、
なんて思っちゃいます。


この読みやすさを「守り」と捉える人もいるだろうけど、私はむしろ芸域が広がったのだと思います。歴史ものですが、大国の間で
頭脳だけを武器に駆け引きする琉球の交渉術は、現在の日本と比較すべき部分も多くて結構考えさせられました。琉球時代の歴史も
もっと知りたくなりました。まだまだ色々書けそうだなあ、この人。


真鶴の設定はツッコミどころ満載だけど、それを言ったら「男装の麗人」ものはほとんど成り立たないのでまあ気にしない気にしない。
後半の真美那との女の友情にはちょっとウルッときました。女同士の醜い足の引っ張り合いの場面といい、どうしてこんなに女心を上手く
(しかも面白く)書けるんだろう?本当は女性なんじゃないの?なんだか不思議です。