「プリオンの迷宮」(マルティン・ズーター)


図書館にて借出し:


プリオンの迷宮 (扶桑社ミステリー)

プリオンの迷宮 (扶桑社ミステリー)


頭部の怪我により過去50日間の記憶を失った記者のファビオ。どうもその間に恋人を取替え、新聞社を退職し、その上で何かを
企んでいたようだ。自分のあまりの変貌振りに戸惑ったファビオは親友の助けを借りて記憶の空白を埋めようとするのだが…。


邦題にもあるように狂牛病で一時話題になったプリオンが絡んできますが、社会的告発がメインではなく、あくまでファビオの
心理状態を追うことを主体としたミステリー。でも食品の偽装疑惑という意味で、今読むと別の意味でリアルに感じられます。


著者はスイス人で舞台もスイスですが、主人公のファビオはイタリア系移民の出身で、それを色濃く反映した暮らしぶりが
面白く感じられました。サッカーと食べ物にこだわり無宗教の葬式に違和感を覚える、というのがいかにもそれっぽい。
別の作品も翻訳されたようなので、近々読んでみようと思います。



縮みゆく記憶 (ランダムハウス講談社文庫 ス 2-1)

縮みゆく記憶 (ランダムハウス講談社文庫 ス 2-1)

本当はこちらがデビュー作。