「Eve Green」(Susan Fletcher)


2004年ウィットブレッド賞の First Novel Award 受賞作。
どっちが題名でどっちが著者名か、しょっちゅう混乱していた私…。


Eve Green

Eve Green


突然の母の死により、母の故郷・ウェールズの祖父母に引き取られることになった8歳の少女、エヴァンジェリン・グリーン。
大人になり、初めての出産を間近に控えたエヴァンジェリンは改めて当時を振り返る。
未だに噂される田舎ではスキャンダルだった母の妊娠と旅立ち、心優しき障害者のビリーとの友情、年上の青年へのほのかな想い、
そして意地悪な美少女ロージィの失踪…。


デビュー作に人が求めるものは、全体に多少難があってもそれを上回るだけの瑞々しい感性であって、その意味でこの作品は
充分に賞を与えられるにふさわしいものを持っていると実感しました。目新しい要素はないけれど、ウェールズの田舎を背景に
8歳の少女の苛立ちや怒り、戸惑いが生き生きと魅力的に描かれています。その当時の感情を、母の死んだ年齢に追いつき
自分もこれから母になるという心境の下に改めて思い起こす、という二重構造がまた効果的。


「女性の感性」を売り物にした小説は本来あまり好きじゃないんだけど、これが意外と好ましく読めたのはやっぱりエヴァンジェリン
めそめそするよりは常に怒っている、不機嫌な女の子だからでしょうか。
ヒロインらしからぬ嫌な性格の部分をちゃんと書いているのも良かったです。



Oystercatchers

Oystercatchers

2作目も出たのでこれもそのうち読むつもり。



贖罪

贖罪

女の子を怒らせると後が怖い、という話つながり?
物語の重厚さはさすがにマキューアンが一枚も二枚も上手。
映画は先日のヴェネチア映画祭で上映されたそうで、今から楽しみ(キーラちゃん好きなのだ)。