「バベル」(2006)
久しぶりに映画館にて鑑賞。
●日本公式サイト:http://babel.gyao.jp/
題名から「言葉(文化)の違いから分かり合えない人たちの話」を予想していたのですが、
実際に観てみたら「例え言葉(文化)が同じであっても人と人が分かり合うことの困難さ」を
描いた映画でした…きつい。
それでも分かってほしい、と他者に縋りつく人間の哀しさが胸に沁みました。
前作「21グラム」はちょっと時系列をいじり過ぎだと感じましたが、今回は分かりやすく
まとめてありました(伊坂幸太郎の小説あたりを連想した)。
菊池凛子さん演じるチエコはすごくイタいというかしんどい役柄で、この役のために一年近く
オーディションを受けていたのか…と思うと大した役者魂だと恐れ入ってしまいました。
(だってあんなこととかこんなこととか、演技でも私はやりたくない!)
表情がとても素晴らしくて、確かにこの映画の中では一番印象に残る演技でした。
それだけこの監督さんと一緒に仕事がしたかったのだと思います。
この監督のメキシコでのデビュー作「アモーレス・ペロス」を最初に観たのは深夜TVで、
ドイツ語吹替えでほとんど台詞が分からなかったにも関わらず、冒頭の衝撃的な場面からずっと眼が離せず、
結局最後まで観てしまった思い出があります(その後すぐ日本語版DVDを買った)。
暴力的な場面も多くて本来なら私好みの映画ではないはずなのに、その荒々しい行動の奥で
振り回されている感情の危うさに心惹かれてしまうのです。
彼の元に多くの俳優さんが集まってくるのも何だか分かる気がします。
これからもハリウッドの枠を超えて活躍してほしいものです。
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ここからは余談:
映画館での上映形式は「オリジナル音声(英・日・西語など)+独語字幕」で、私にとっては
大変有難いものでしたが、多分文句をつけた客も居るのでしょう、「↑こういう形式なんですけど
大丈夫ですか?」とわざわざ窓口で確認されました。ドイツ人はあまり字幕に慣れてないし、
かといって英語しか分からないと半分くらいしか理解できないことになっちゃうし。
でもこの映画を全編ドイツ語吹替えで上映すると、それはそれでまたなんか違うような…。
最近こういった多言語映画が増えていますが、上映側は頭を悩ませるところが多いだろーなーと
考えさせられる一幕でした。
余談その2:
行き詰ってアフリカへ赴く白人夫婦(ブラピ+ケイト)ってボウルズの「シェルタリング・スカイ」を
連想させるなあ…これって西洋人の定番コースなんだろうか。大抵の場合自分を見つめ直すどころか
見失って、かえって泥沼にはまるだけだと思うんだけど。マゾ的快感?
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