「戦後ドイツのユダヤ人」(武井彩佳)


日本人向け図書室より借出し:


戦後ドイツのユダヤ人 (シリーズ・ドイツ現代史)

戦後ドイツのユダヤ人 (シリーズ・ドイツ現代史)

ユダヤ人はなぜ、第二次大戦後も「ヒトラーの国」を選んだのか(帯より)


告白すると、この本を手に取るまでそんなこと疑問に思ったことも無かったですよ。なんかユダヤ人って世界中どこにでも居そうな気がしていたので。


終戦時、ドイツには三種類のユダヤ人が居た。まずドイツ人との婚姻によりナチの対象からかろうじて逃れた人達、そして地下で活動していた人達、最後に収容所からの解放者達。
彼らはイスラエル建国後は速やかに移住していくと思われており、実際かなりの人数が海を渡った。しかし金銭的あるいは健康上の理由から移住できないもの、また環境の違いになじめず戻ってきたものたちは、独自の共同体を形成してドイツに根を下ろした。更にロシア・東欧の社会主義に抑圧された同胞たちが流れ込み、「ドイツのユダヤ人」は新たな段階を迎える…。


上に書いたのはあくまで内容のほんの一部。実際には政治・経済・宗教上での駆け引きが絡み合って事態を一層複雑にしている。
しかしながら素人にも良く分かるように現状を説明してあるので、読みやすいし今まで気に留めなかったような点でも色々気づかされることが多かった。これからも役に立ちそうな一冊。


ちなみにこれは白水社にて昨年刊行の「ドイツ現代史」シリーズの中の一冊。他の本もおいおい読んでいこうと思う:


20世紀ドイツ史 (ドイツ現代史)

20世紀ドイツ史 (ドイツ現代史)


ドイツを変えた六八年運動 (ドイツ現代史)

ドイツを変えた六八年運動 (ドイツ現代史)


ドイツの歴史教育 (シリーズ・ドイツ現代史)

ドイツの歴史教育 (シリーズ・ドイツ現代史)


白水社サイト:
http://www.hakusuisha.co.jp/collection/g-history.php