「カレーソーセージをめぐるレーナの物語」(ウーヴェ・ティム)


日本人向け図書室にて借出し:


カレーソーセージをめぐるレーナの物語 (Modern & Classic)

カレーソーセージをめぐるレーナの物語 (Modern & Classic)


今や北ドイツでならどこででも食べられるカレーソーセージ (Currywurst)だが、一般的にはベルリン名物だと言われていて、そういうものだと私も素直に思っていた。
しかし少数派ながらもハンブルク発祥説を唱える人達もいるようで、これはそのハンブルク説を元に綴られた物語。


物語の始まりは1945年の4月29日。ということは映画「ヒトラー:最期の12日間(asin:B000AC2V5K)」とほぼ同時期になる。
映画ではベルリンの壊滅的な状況が生々しく伝えられていたが、ハンブルクにしても英・米軍による空襲が連日続き、市民達は疲弊しきっている。


戦時中、そして戦後の苦しい暮らしの中で、いかに日常を生き抜かねばならなかったかが、レーナをはじめとする一般市民たちの視点から丁寧に丁寧に語られる。
そしてそこから奇跡のように最後に立ち昇ってくるカレーソーセージの豊かな香り。


W杯でドイツを訪れる日本人の中には、現地でカレーソーセージを食べることになる人もきっと多いことだろう。そんな人が日本に戻って来てからこの本を見かけたら、きっと手にとって読みたくなってしまう、そんな魅力がこの素朴な食べ物にも、そしてこの物語にも確かにあるのだ。
(しかしそうすると「ハンブルク発祥説」派ばっかり増えちゃったりして…ははは)


●参考 Wikipedia 「Currywurst」(英語):http://en.wikipedia.org/wiki/Currywurst
(ここの写真のはあんまり美味しそうに見えませんねー)