「白バラの声」(ハンス・ショル、ソフィー・ショル)


日本人向け図書室で借出し。
下記の書籍情報は今年初めに出た新装版だが、私が実際に読んだのは85年発行の旧版。
新版には映画「白バラの祈り」の情報なども追加されているのかな?


白バラの声 ショル兄妹の手紙

白バラの声 ショル兄妹の手紙


ことほどさように、彼らの意識から「大衆」は欠落しており、そのような政治活動の失敗は初めからわかり切っていたということもできるでしょう。しかし、果たしてそれは「失敗」なのでしょうか?(「訳者あとがき」より)


映画を観てもっと「白バラ」の活動について詳しく知りたい、と思ったのがこの本を手に取った動機だが、それらの活動に関しては殆ど触れられていなかった。よく考えてみれば検閲が日常だったこの時代に手紙で具体的な活動内容を書けるわけはないし、書いたとしても受け手は読んだらすぐ処分してしまっただろう。


かと言って読んで無駄だったかと言えばそんな事はなく、戦時中の厳しい環境と、それを乗り越えるべく支えあう家族や友人達との繋がりの深さ、そして信仰への新たな想いなどが隠すことなく描写されていて非常に興味深い内容だった。二十歳そこそこでこれだけ熟考された記述ができるものなのか。倍近い歳を重ねた私は、ただただ唸るばかりだ。



●映画感想:http://d.hatena.ne.jp/shippopo/20050924