「迷路」(T・フォンターネ)
- 作者: フォンターネ,伊藤武雄
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2005/02
- メディア: 文庫
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19世紀後半、ベルリンを舞台とした身分違いの恋。
この時代、階級が違えばすなわち悲恋に終わる事は避けられない話だ。
しかし小説の中では一切修羅場は演じられない。悲恋は悲劇にすり替わらない。
登場人物達は大変良識的に、理性的に対応する。
かといって、それは恋人同士の情が薄かったからではない。想いはいつまでも残る。
読了後も、終わるしかなかった恋の切なさに胸が痛くなる。
一見何も起こらなかったかのような、普通の人々の日常の中に潜む細やかな感情。こういう話を書くのは実は結構難しいと思う。ううーんフォンターネ、私、結構好きかも…。