「移民たち」(W・G・ゼーバルト)

日本人向け図書室より借出し:


移民たち (ゼーバルト・コレクション)

移民たち (ゼーバルト・コレクション)

−−−彼らはこうやって還ってくるのだ、死者たちは。(p.27)

アウステルリッツ」のような異様な濃密感こそ無いが(そのおかげである意味ずっと読みやすいとも言える)、同様の語り(騙り)が静かに進行していく四編。
ここに記されている「移民たち」は、私にはまるで「死者たち」と同義語のように思える。本来居るべきところからはじき出され、ゆっくりと魂をすり減らしていく者たち。志井の人々の痛ましい記憶の数々。