雑誌「デリ -Deutsche Literatur」(Nr.5)


デリ―Deutsche Literatur (Nr.5)

デリ―Deutsche Literatur (Nr.5)

●公式サイト:http://www.h7.dion.ne.jp/~deli/


ようやく入手。雑誌だがISBNを取得しているのでネット書店でも一応注文できる…のだが、自社サイトにもその旨を表記していない辺りが商売下手だなあ、といつも思う。(ちなみにISBN:4806084824
私は紀伊国屋Bookwebの会員なので、そちらから取寄せてもらいました。


現代ドイツ文学の将来を担うであろう作家達の作品が抄訳ながらも掲載されていて、地味ではあるが大変興味深い内容。海外文学の青田買いをしたい人は必読!でしょう。


中でも特に個人的に注目しているのはヨーン・フォン・デュッフェル「ホーヴェラント」インゴ・シュルツェ「新たな生」。ドイツの書評誌でもかなり好意的に取り上げられていた記憶があります。これは是非全訳が読みたいものです。


Houwelandt

Houwelandt


Neue Leben

Neue Leben




インゴ・シュルツェの昔の作品は英訳もされているので、そこから手をつけてみるのも有りかな。


Simple Stories (Vintage International)

Simple Stories (Vintage International)


33 Moments of Happiness: St. Petersburg Stories (Vintage International)

33 Moments of Happiness: St. Petersburg Stories (Vintage International)




「非英語圏在住の英語読み」として最近改めてひしひしと感じるのは、非英語圏の文学作品の場合はほとんどが、まず英訳され、英米の書評界で注目されて、そこから初めて全世界に広がるという構造。「朗読者 (新潮文庫)」も「アウステルリッツ」も、これはドイツ文学じゃないけど「わたしの名は「紅」」も、英米で注目されなければ多分日本語訳は出せなかったと思う。


もちろん英米の書評界のレベルは非常に高いけれど、こういった面倒な過程の中で抜け落ちてしまう作品も決して少なくはないはずだ。その中でドイツ語圏から直接情報を伝えようというこの雑誌の試みはもっと評価されていい。色々と苦労されているのは容易に想像できるが、この種の試みが上手く機能してほしいと切に望んでいる。