「奇術師」（Ｃ・プリースト）

〈プラチナファンタジイ〉 奇術師 (ハヤカワ文庫 FT)

昨年末買った書評本「日本一怖い！ブック・オブ・ザ・イヤー2005」の中で北上次郎氏が「ラストが分からない」と発言していたので、そんなに難解なのかと身構えて読んだのだけど、何を分からないと言っているのかそっちの方が私には分からなかった。不満とか納得がいかないとか言うなら理解できるけど、これならもっと素直に楽しんで読めば良かったなー。ちょっと失敗したかも。

話の方はもはや定番の「信頼できない語り手」をベースに幻想小説の味つけで、読んでいる最中こそグイグイ引き込まれて一気読みだったけど、読み終わってみると割とあっさりとした印象。文庫化された同じ作者の「魔法」を読むかどうか、ちと微妙なところです。

映画化の話もあるそうだけど、それってやっぱりクロサワ「羅生門」みたいな構造になるんだろうか。これも最近もはや定番というか、いいかげん飽きてきました。