ゾロがぞろぞろ

Zorro: A Novel

Zorro: A Novel


ここドイツでも、旅先のスペインでも本屋で目立ったのがイサベル・アジェンデの「小説Zorro」。アジェンデと快傑ゾロ、という意外な組合せに当初は素直にへええと驚いていたのだが、あちこちで関連記事を読むと、どうやらこれって色々大人の思惑が絡んでいるみたい。


そもそもこれはオリジナル「ゾロ」の著作権所有者(実際の著者から買い取った人の子孫)が、アジェンデの家まで押しかけて持込んだ企画らしい。1919年に最初の小説が発表されてから様々なメディアに取り上げられてきた快傑ゾロだが、98年にA・バンデラス主演の映画「マスク・オブ・ゾロ」がヒットして、こりゃまだまだいける!と踏んだ著作権所有者が、この秋の映画続編の公開に合わせて小説も改めて売り出そうと考えたのだ。
アジェンデが選ばれたのは、その名声に加えてチリ出身で現在米西海岸在住、という境遇がラテンアメリカの出自を持つアメリカのヒーロー・ゾロのイメージにうまく重なるという販売戦略から。


アジェンデは一旦この企画を断ったらしいが、一度引き受けるとすっかりのめり込み、「ゾロに恋してしまった」とまで語っている。しかし出来の方はどうかというと、例えば「Buecher」誌の記事では私の拙い独語読解力でも明らかなほどケチョンケチョンにけなしていて、読んでいて心配になったほどだ。メロドラマ的でただ善良なだけ、女々しくて退屈な男になってしまった、というのがここの記者の感想。
ネット上でGuardianの書評を見ても、手放しで絶賛という感じではない。まあ3ヶ月のやっつけ仕事の割にかなりの契約金を手にしたらしい、という噂を聞いただけでも真面目に評価したくなくなる気持ちは分かる。野次馬は気軽に読み飛ばせばいい、だけかも。


Guardian関連記事:
I・アジェンデへのインタヴュー「Zorro and Me」
http://books.guardian.co.uk/departments/generalfiction/story/0,,1486283,00.html


書評2件:
http://books.guardian.co.uk/review/story/0,,1498129,00.html
http://books.guardian.co.uk/reviews/generalfiction/0,,1468837,00.html



バンデラスは団子鼻だからゾロの仮面は似合わない、と思うのは私だけだろうか?


関係ないけど、この件について色々調べているうちに自分がゾロとハリマオをごっちゃにしていたことが分かりました。ハリマオも頑張れ!