「代表質問」(柴田元幸、他)


図書館にて借出し:


代表質問 16のインタビュー

代表質問 16のインタビュー


海外・国内の作家や文学者に行なったインタヴューを集めたもの。古いものもあれば新しいものもあり、長さもまちまち。
個人的にはもっとコンセプトが明確な本の方が好みですが、かといってこれが読んでいてつまらないという事は無いです。


特に印象に残ったのは、リチャード・パワーズが自署「われらが歌う時」について語った下り:

米国でこの本は、人種やアイデンティティの分裂について書かれたものとして読まれました。しかしドイツでの反応は
全く違いましたね。ドイツ人はこの本を音楽に関する本であると考え、人種やアイデンティティの問題は、誰が何を歌う
権利を得るのかを考察するための状況設定と解釈されたのです。ドイツには音楽に深く影響を受けてきた文化が
根付いていて、人種問題を米国ほどは抱えていない。忠実に翻訳されても、同じ本が異なる物語になることはある。(p.30)


うーんなるほど。そういえば「われら…(The Time of Our Singing)」の独題は「Der Klang der Zeit(時代の響き)」で
ourに当たる部分がありませんね。その辺も解釈の差によるものなのでしょうか。色々深読みしてしまいます。



われらが歌う時 上  われらが歌う時 下
●原書感想:http://d.hatena.ne.jp/shippopo/20051018/1129635302