「ベルリン1919」(クラウス・コルドン)


日本人向け図書室より借出し:


ベルリン1919

ベルリン1919



「小学生高学年−中学生向け」と紹介されていたので、どんなもんかなーとちょっと不安だったのですが、
ボリューム(650頁以上!)だけでなく、内容も非常に読み応えがありました。
ドイツの、そして世界の子供たちにこの事実だけは知っておいてほしい、そんな著者の思いがビンビンと
伝わってくるような作品です。


第一次大戦を終了させた「ドイツ革命」から一種の内戦状態を経て新政府が成立するまでが、
極貧家族の長男の眼を通して描かれています。
この後に続くナチ支配の時代の衝撃があまりに大きいために、この辺のゴタゴタした状況はドイツでも
なかなか注目されないとあとがきにも書いてありましたが、確かに知っていた気になっているだけの事柄が
多いなあ…と改めて感じ入った次第。


●参考:Wikipedia「ドイツ革命」


ひょっとしたらロシア革命並みの大変革につながっていったかもしれないし、そうするとナチスの台頭も
なかったかも、そのかわりドイツ全体がバリバリの共産主義国になっていたかも…と歴史に求めてはいけない
「IF」についても色々考えてしまいます。


今とは全く異なる時代、異なる土地での歴史を日本の子供たちは果たしてリアリティを持って受け止められるのか…
そんなことまでふと考えてしまいました。たとえ自分では経験が無くても、共感する心だけは常に研ぎ澄まして
おいてほしいものです。


三部作ということなので、機会をみて続きも是非読もうと思ってます:


ベルリン1933

ベルリン1933


ベルリン1945

ベルリン1945