「ウィーンの冬」(春江一也)

日本人向け図書室にて借出し。
プラハの春」「ベルリンの秋」に続く <中欧三部作>完結編!とか言われたら、そりゃ読むよねえ。


ウィーンの冬

ウィーンの冬


土地柄?もあって前二作は私の周りにも読んでいる人は何人かいて、お互いの感想を統合すると「主人公がなぜモテるのかはよく分からないが、冷戦時代の政治事情についてはさすがに著者が外交官出身だけあって臨場感があって面白い」というところだった。


しかし今回の話は、特に続編にしなくても良かったんじゃない?と思うくらい前二作とはかけ離れた印象を受けた。売りやすいように別の話を無理矢理くっつけたんじゃないかと疑ったほど。主人公の堀江も(もともとパッとしないキャラだが)終盤どんどん出番が減っていくし、著者の方も飽きたんだか面倒くさいんだか後半は書き飛ばしている感じ。


中身自体は北朝鮮の核爆弾テロ、というある意味タイムリーな事柄を取り扱っているのだけど、1990年前後の「例の事件(一応伏せておきます)の再現」ではなく、現在にもっと引き寄せた全く新しい事件として書けていればなあ、と思います。もっと面白くなりそうなのにちょっと残念。



ウィーンの内部への旅―死に憑かれた都

ウィーンの内部への旅―死に憑かれた都

本書の発想の起点になったという本。ウィーンの地下に張り巡らせてあるという地下連絡路の話。これは読んでみたい。