「Factotum」(2005)


DVDにて観賞(英語音声・英語字幕)。原作はブコウスキー先生のこちら:


勝手に生きろ! (学研M文庫)

勝手に生きろ! (学研M文庫)


●DVD情報(Amazon.co.uk):http://www.amazon.co.uk/gp/product/B000EMI5K6/



この本自体は未読だが、著者の分身・チナスキーが主人公のいわゆる「チナスキーもの」は幾つか読んでいて、その意味では全く違和感はなかった。


上昇志向や出世欲とは無縁の、酒と女と煙草と競馬の淡々とした日常。事件らしい事件はほとんど起こらず、仕事サボって酒飲んでクビになって…が繰り返されるだけなのだが、そこから巧まずして立ち昇ってくる笑いと詩情…なんて書くと綺麗にまとめすぎでしょうかね。実際ちょっと小ざっぱりしすぎの気もするけど、原作から引用されているであろうチナスキー(というかブコウスキー)の台詞がいちいちカッコ良くて泣かせる。


こういう淡々とした話は映画にすると退屈になってしまいがちなのに、適確な構図と絶妙の間合いで全編を通じてちっとも飽きさせることがない。(初期のジャームッシュをちょっと連想したが、あそこまでストイックではない)後で調べてみたら監督は「キッチン・ストーリー [DVD]」の人だった。これ観たいと思いつつなかなか機会が無かったのだが、やっぱり観なきゃ!早く!


チナスキーを演じるのはマット・ディロン。好みのタイプじゃないので若いときは全く興味がなかったが、地道に色々な役柄をこなして渋味も出せる役者さんになってきたのは嬉しい驚き。「クラッシュ [DVD]」よりこっちの方が断然良いですぜ!



●参考Blog:「ファクトタム Factotum」(ツボヤキ日記)
http://ameblo.jp/tuboyaki/entry-10005667926.html
(製作裏話や原作との違いなどが書き込まれていて参考になりました。こういう愛情のこもったきちんとした紹介文が書けるって、良いなあ)