「Eierdiebe」(2003)


深夜TVにて観賞(独語音声・字幕無し)。監督は、この後ハリウッドに渡って「フライトプラン [DVD]」を撮ったロベルト・シュヴェンケ
●公式サイト:http://www.eierdiebe-derfilm.de/
●DVD情報(amazon.de):http://www.amazon.de/exec/obidos/ASIN/B000B9PUXM/


題名は「卵泥棒」の意。
精巣ガンが発覚したマーティンは手術で精巣を一つ摘出することになる。医者は転移を恐れて完全去勢を薦めるが、それを拒否したマーティンは代わりに抗がん剤による長期治療を選択する。
病院でやはり長期入院により闘病生活を続ける相部屋仲間や、薬づけの女性患者とも親しくなるが、病を前提としたそんなささやかな交流が長く続くわけもなく…。


基本はコメディなのだけど、なにせ主題が「性」と「死」なのでうかつに笑えないようなキワドイ雰囲気が漂う。例えば後半での病院、抗がん剤で髪の毛が抜け、顔色も異様に悪い患者たちが大勢蠢く場面など映像的にはすごく可笑しいのだが、しかしこれを笑ってしまって良いものか?抗がん剤がすごく苦しいものだと頭では理解しているだけに、複雑な心境に陥る。


それと比べると医者や病院スタッフのいいかげんな態度は存分に笑える。私もドイツで手術・入院を経験した(もちろん精巣ガンではないが)ので、大病院の慇懃無礼さがとてもリアルに身に沁みた。採血の下手な看護婦、いたいた!


監督の演出はあくまで淡々。カメラの移動や間の取り方など、適確な演出だなあと感心させられた。「フライト・プラン」は話からして私好みではなかったので観なかったが、こういう手堅い演出をする人とは思っていなかった。一応名前を覚えておこう。