「The Comet Seekers」(Helen Sedgwick)

読むきっかけは多分The Irish Timesの書評。とーっても私好みのお話でした:

The Comet Seekers: A Novel

The Comet Seekers: A Novel

南極調査隊の一員として出会い、お互いに惹かれ合うものを感じる2人、Róisín(ローシーンと読むのかな?)とFrançois。物語はそこから2人の過去に遡っていく。


アイルランドの田舎で2つ下の従兄弟 Liamと育ってきたRóisín。頭脳明晰で彗星の研究者を目指すRóisínにとって故郷はあまりに狭く魅力に乏しい。一方、昔から農場を営んできた家系である Liamに故郷を離れるという選択肢は無い。成人し愛し合うようになる2人だが、生き方の違いが2人の仲を引き裂いていく。


フランスはバイユーに住むFrançoisの一族は、彗星が地球に近づくと館に住みつく祖先たちの霊と会話できる、という不思議な力を備えていた。Françoisはまだその力に目覚めていないが、母親のSeverineは若い時から祖先たちと深く関わりあうあまり周囲からは狂人扱いされ引きこもりがち。幽霊話には懐疑的なFrançoisも、母親を気遣って傍らを離れないようにしていたのだが…。


リケジョの生きづらさがリアルなRóisínの物語と、ハリポタばりのファンタジー要素満載のFrançoisの物語。彗星という共通点を持って交互に語られる2つの物語が、重なりそうでなかなか重ならないのがまたニクイ。はかないようで実は周囲に強い影響力を与えている彗星という存在が、作品全体のモチーフとして効果をあげている。


もともと学者系女子の話にヨワい私はRóisínの生き方に惹かれちゃいました。学術的目標に向かっては迷いなく進めても、そこに人間関係のしがらみが加わると途端に不器用になってしまう。うーん切ない。
あと今どきの女子としては、Françoisが「南極料理人」というのもポイントが高いですね!(爆)


新潮クレストあたりで翻訳が出て、ついでに映画化とかしてくれると嬉しいなあ…と夢見たくなる作品でした。私にしては柄にもなくロマンティック。でもいいですよ。