ドイツ映画2本(「I Phone You」「辛口ソースのハンス一丁」)


最近は映画館に行く気力も無くて、もっぱらDVD鑑賞で済ませているのですが、こんなのDVDにもならんだろ!みたいなマイナードイツ映画がイベント絡みで上映されたのでいそいそと出かけてきました:


●映画「I Phone You」(於:SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016)
公式サイト紹介

あらすじ:重慶の花屋で働くリンは、ベルリンから来た中国人ビジネスマンと恋に落ちる。しかし彼はiPhoneを彼女に贈り、帰国してしまう。その後、iPhoneで連絡を取り合うなか、彼女は思いにまかせベルリンへ。だが、空港に迎えに来たのは彼の運転手だった。(公式サイトより)

正確には(初の)独中共同制作映画。お互いの文化の違いもあって完成まで色々大変だった、とは上映後の監督インタヴューにて。話としては他愛もないラブコメですが、いかにもドイツのコメディっぽい…と思ったら脚本は監督の原案を基に、師匠筋でもあるドイツの大御所脚本家 Wolfgang Kohlhaaseが手掛けたのだそうな。実際にもドイツではそこそこ好評だったのに対し、中国ではヒロインが愛人的ポジションということもあって公開当時(2011年)は結構批判もあったとか。今なら中国ももっと開放的になっているから受け止め方も変わるかも、という裏話が印象的でした。


ここでの私のお目当ては、運転手マルコを演じるフローリアン・ルーカス君!チョイ悪ぶってるけど本当はイイ奴、なんて正に彼にピッタリの役ではありませんか。役作りなのか久々に観る彼は普段より精悍な感じに仕上がっていて、なのにヒロインにいいように振り回されてるのが、ああもどかしーい。そんな女ほっときなよ!と何度思ったことか。いやこういう奔放ヒロインは私苦手なんですよ…(女優さんとしては魅力的でしたが)。


今回初めて川口のSKIPシティに行きましたが、特別直通バスがなければどうやって行ったらいいのか分からないような不便な場所で、しかも上映が雨の平日昼間ということで、広い会場も閑散として(観客は関係者ばっかりという感じ)一人で心細かった…周囲も正直何もないところだし、これで週末はそれなりに人が入るのかしら?と心配になっちゃいました。企画自体は良いと思うんですけどね。


●「辛口ソースのハンス一丁(Einmal Hans mit scharfer Soße)」(於アテネ・フランセ文化センター)
公式サイト

あらすじ:ヒロインはトルコ系移民2世、未婚の妹の妊娠に因習的な両親が気づく前にやはり未婚の姉ハティジェが先に結婚せねばならない。だが彼女は恋人と別れたばかり、てんやわんやの婿探し騒動が幕を開ける。(公式サイトより)

タイトルは「トルコ人のように情熱的な(でもトルコかぶれしてない)ドイツ人が結婚相手に欲しい!」って意味合いでしょうか。
こういう結婚を巡るドタバタ劇って、実は今の日本でも健在だよなあ…なんて思いながら観てました。たとえ人種・民族が同じでも、それぞれの家族にはそれぞれの習慣とかしきたりとかがあって、その共同体から抜け出して結婚するって正に異文化衝突なんですよね。


ヒロインは都会でキャリアウーマンやってて結婚なんてしなくていい!と思っていても、結局は実家に帰って家族と過ごす幸せを手放せなくて親の言うままに結婚相手を探しまわる。親の干渉を嫌っているようで、共同体の居心地の良さにしがみついているのは実はヒロインの方だった…というのも「あーあるある」な展開でした。


というわけで、これも他愛のないコメディといえばそれまでですが、客人もてなしの重要な要素としてしばしば出てくるトルコ料理が本当に美味しそうでした。一応世界三大料理に入っている割に今一つ人気のないトルコ料理ですが、この映画観ると美味しそうだな食べたいな、と思ってしまいますね。


企画側としてはこの映画の前に上映された「女闘士」の方が話題性もあって一押し!だった感もありましたが、今回は時間の関係で観られなかったのでこれはまたの機会に。合間の渋谷氏のトークはいつも通り白熱していて色々勉強になりました。「帰ってきたヒトラー」観たらまた色々考察することが出てきそう。


昨年出たこの本をベースに着実に活動を広げている編者の皆さんには感服しまくり。私もイベントにできるだけ参加することで、ささやかながら応援していきたいです。がんばるぞー。