「世界コミックスの想像力」(小野耕世)


図書館にて借出し:



ユリイカ」誌で連載されていた時に何章かは読んでいて著者の博識ぶりに感嘆していたので、
今回単行本化されたと知って飛びつきました。マンガ好きなんですものー。


アメリカン・コミック、欧州のBD、そして日本のマンガ…と表現方法に多少の違いはあるけれど、
視覚的効果と優れた語り(必ずしも言葉によるものではない)で物語を紡いでいく作品を、著者は
「グラフィック・ノベル」と位置づけ、新旧にも東西にも限定せずその魅力を紹介していきます。


しかしやはり著者の博識なこと!私よりずっと年長なのですが、特定の分野に偏ることなく、
また新しい表現方法に戸惑うことなく、次々と極めて楽しそうに作品を挙げていきます。
慣れ親しんだ日本の「マンガ」観に囚われている私なんてまだまだ保守的…ちょっと反省しました。
かといってアバンギャルドなものばかりというわけでもなく、クラシックな作品も取り上げていて
勉強になることも多かったです。


後で確認したら、ずーっと昔に読んだ↑もこの著者のものでした。当時は「マンガを使った
こういう文化論もあるんだ」と新鮮に感じたのを覚えています。読み直そうかな…。


日本のマンガは今、世界のどこにいってもその国の言葉で読める、という状況になりつつあって、
これらに影響された各地の若者達が独自に咀嚼して新たな表現方法を模索している…そんな動きを
ひしひしと実感できる内容でした。また色々試し読みしたくなってしまう本が増えてしまいます:


アライバル

アライバル


Mister O〔ミスター・オー〕

Mister O〔ミスター・オー〕


Rughe

Rughe


Hollow Fields 1-3: Omnibus Collection

Hollow Fields 1-3: Omnibus Collection


American Born Chinese

American Born Chinese


Shortcomings

Shortcomings