「ブラッド・メリディアン」(コーマック・マッカーシー)


図書館にて借出し:


ブラッド・メリディアン

ブラッド・メリディアン


圧倒されました。残虐なインディアンを退治するという名目で無情な殺戮が延々と繰り返される荒野。
ほとんど無意味なまでに人が死んでいく邪悪な物語を、それでも最後まで吸い込まれるように読んでしまったのは
途切れなく冷静に積み上げられていく言葉の呪力に私が捕われてしまったからでしょうか。
こんなにも具体的で恐ろしい描写なのに、それが力強い抽象詩のように美しく感じられてしまいます。
暴力もまた一種の魅力的な「力」となりうる、そんな人間の感情の奥底に下りてきてしまったような気がしました。


それにしても登場人物の「判事」、怖い、怖すぎる…。
これから一人でトイレに行けなくなりそうです…。



●「初心者のためのコーマック・マッカーシー」(執筆者・黒原敏行)
http://d.hatena.ne.jp/honyakumystery/20100223/1266892122

訳者による作品紹介。翻訳が大変だったろうとは容易に想像がつきます。お疲れ様でした!